第6章 不安
一生懸命に口を動かす。
上下させる。
ダメだ…
苦しい…
そのとき動かしている頭を固定された。
「ふぇ…?」
拓斗さんだった。
「拓斗しゃん…?」
「果奈…そんなにふぇら下手だったっけ?」
「え…」
「なんつーか、全く刺激されねーんだけど」
「……」
「やっぱ果奈おかしーだろ。
声も…エロくねぇつーんかな…色っぽくねぇ。
感じてるように思えねーし
あんま濡れてねーし、締め付け悪い。
とにかく、いつもと違う。
なにがあったわけ?」
「な、なんにもないよっ!
私はいつも通りだし、
感じたまんま声出してるだけだからっ」
「…なにかなきゃこーなんねぇだろ?
言ってみろって。な?」
「……っっ……ぁ……」
「…」
「…な、なんでもないって言ってるじゃんっ!
私がなんでもないって言ってるんだから
なんでもないんだよっ!
もーわけわかんないっ!」
「…は?…わけわかんねぇのはこっちだし。
いい加減にしろよ?
俺、そんなに信用されてなかったん?
頼ってもらえねーんだ?
ならいーよ。勝手にしろ」
「…え……?」
拓斗さんは部屋から出ていった。
私はひとり、取り残された。