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月島と恋愛に後ろ向きな三年生が付き合うまでのお話。

第1章 告白失敗


「私ね、月島くんが好きなの」
 まるで“私、プリンが好きなんだ”なんて言うかのようにさらりと吐かれた言葉に、重さを感じろなんて無茶な話で。それは果たしてLIKEなのか、LOVEなのか、はっきりと読み取れない。いや、読み取らせたくなかったのかもしれない。彼女は怖がりだから。
 僕の目の前を十歩ほど行く彼女はいつ見ても小さくて、今は俯いていて首筋しか見えない。距離はさして開いてない筈なのに、詰められないのは僕も臆病なんだろう。
「それでね・・・・出来たら今までみたいに仲良くしてくれると嬉しいんだけど・・・・」
 くるりと振り返って、努めて明るいトーンで言う。彼女が言う好きがLOVEだったのだと飲み込んだ瞬間、脳味噌がぐつぐつ煮え始める。今までみたいにって何だ? 当たり触りのない先輩後輩でいろって事か? そんなのは「嫌だ」
「・・・・そう、だよね」
「僕だって藤波さんが好きだから」
 僕の告白に、何故だか藤波さんは怯える顔をした。両思いになったのだから諸手を挙げて喜ばれると思った。もしくは泣いたとしても、これは嬉し泣きだからとかいうベタな奴だと思った。現実の藤波さんは違った。完全な拒絶。好きだとお互いに明かした相手に、これはあんまりじゃないか。
 苛々する。いつもそうだ。部活で、学校の廊下で、図書室で。いつ話しかけても壁を感じる。田中さんや西谷さんにはフレンドリーに接するクセに。
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