第47章 お正月
家に聞き慣れたチャイムが響き、誰かが確認をしに玄関に向かった
誰なのかわかっているあたしは荷物をもって、階段を下り始めた
「名字さん、お迎えですよ」
名前
『はい!行ってきます!』
笑って返事をして玄関に向かうとお手伝いさんと呼ばれる部類に入る方達は嬉しそうに笑った
それにもう1度「いってきますね」と返事をしてから下駄を履き、ドアを開けて外に出た
黒子
「こんばんは、名字さん」
火神
「よう」
名前
『夜分遅くお疲れ様ですお2人さん』
黒子
「今年は藍色の着物なんですね」
名前
『あいむべりーこーるど』
火神
「I'm very cold.」
黒子
「何か今ボクすごいムカつきました」
名前
『バカカミのくせに発音がいいのはムカつくわー…』
まあそんな話は置いておき、とりあえず目的地に向かおうかと下駄をカランコロンと鳴らしながら歩き出した
こんな夜中に出歩いていいのか、そう聞かれれば答えはダメだろうけども今日は多分…大丈夫だと信じている
黒子
「名字さん冬休みの宿題終わりましたか」
名前
『まあそれなりに』
黒子
「ちょっとわからない所あるので、今度聞いてもいいですか?」
名前
『はいはい了解』
そんな他愛ない会話をしつつ歩いていると目的地にたどり着き、人がすごく賑わっていた
火神
「うわ…人すげぇな」
黒子
「中学生もいますね」
名前
『まあ仕方ないんじゃない、大晦日なんだし』
1年最後の日、新年が来るまであとおおよそ数十分、地元の中では少々大きめの神社にやってきて、鳥居の前に立っていた
昨年、と言うか今年までは陽が登ってから来ていたのだがまあ高校生だから良いかという意味で神社で年を越そうという話になっていた
既に除夜の鐘を鳴らすのは始まっているようで、煩悩が吹き飛ばされるかどうかは知らないがとりあえず近くで聞くとうるさいものである