第44章 倒そう
火神
「(おかしい…どういうことだ。確かにすげぇけどこれだけの選手なら他の「キセキの世代」の方がずっと脅威を感じる
試合展開も普通すぎる。さっきの寒気は気のせいだったのか!?)」
そう思って彼らがふと赤司を見ると彼はゾーンに入っており、誠凛は咄嗟に身構えた
だが彼はそんな誠凛を見てまたフッと笑い、「そう身構えるな」と言った
赤司
「心配しなくてもお前の考えているようなことにはならないよ。ゾーンと言っても少し前の状態に戻っただけだ、俺自身もう大ゲサに変わったりしない
…ただし、他の4人は別だがな」
黒子
「…え」
日向
「なっ」
木吉
「バカな!」
伊月
「あり得ない…!」
火神
「(ウソだろ…)ゾーンが…五人全員…!?」
その兆候は少し前から怒っていた。残り約4分40秒の際、相田は胸騒ぎ、違和感を覚えていた
それは日向も、伊月も、木吉も感じていた
しかしその違和感の正体、そもそも違和感を感じていない若松は「けど赤司は思ったより…普通じゃないスか?」と今吉に問い掛けた
今吉
「…普通?まさか…PGからしたら化物にしか見えへんで」
若松
「…え?」
笠松
「一見赤司がアシストして決めてるようだがそれだけじゃない…
(気づいてるか誠凛…)
赤司のパスを受けた選手の動きが、どんどんよくなってる」
バスケットの試合中数え切れないほど飛び交うパス、だが本当に厳密な意味での完璧なパスとなると偶然と言うほど稀有である
ナイスパス・ナイスアシストと呼ばれるそのパスもそのほとんどは速さ・軌道・タイミング等…どこかにズレはあり受ける選手がそれを補正することで完成している
実渕が悪いパスによってリズムを崩すことが先程あったが、つまり逆もある
良いパスは良いリズムを作る。さらにそれはつきつめれば、完璧なパスは完璧なリズムを作る
完璧なリズムとはすなわちその選手が1番気持ち良くプレイできるリズム、完璧なパスはズレを補正する必要がない。次の動作に100%神経を注ぐことが出来る
赤司は広大な視野と並外れたバスケIQで敵味方全てを把握。刹那のズレも許さないおよそ狙って出すのは不可能とも言える究極のパスを自在に操り、味方の潜在能力を限界まで引き出す
緑間
「これが…赤司の本当の力なのか…!!