第32章 海常VS福田総合
火神
「はぁ…お前なんでこんなとこ来たんだよ」
名前
「紫原と喋ってね、ちょっと思い出したからきた」
火神
「…そーかよ」
行こっか。と彼女の声に2人は歩き出して、特に会話はなく歩き続けた。そして会場の中に入って名前の顔をそっと盗み見ると彼は驚いて「おわぁあああ!!」と大声をあげた
彼の大声に驚いた名前は何と言って彼を見ると、彼は「お前の目、オレンジになってる!」と彼女の目を指摘した
そんな彼女の目がオレンジ色になった理由は少し前のこと、火神が氷室の元へ行ったすぐ後のことである
名前
『紫原……くん、お疲れ…様』
来てくれたとはいえ彼が思い出しているのか、どう声を掛ければいいのか名前が悩んでいると、彼は「名字ちんごめん」と急に謝って、その言葉に名前は目を見開いた
名前
『待って、今…名字ちんって…』
紫原
「ごめん名字ちん…忘れてて…」
名前
『いや大丈夫…だけど…まだ試合終わってそこまで経ってないよね?いつ思い出したの?』
紫原
「今」
突っ込む彼女のことを紫原が思い出したのは今ではないかもしれないが、つい先ほどのこと。彼が泣いている時のことだった
彼は退場しようとする時にたまたまなのか、必然だったのか彼女のことが目に入った。その瞬間彼は気づくとバスケの試合を見ていた。そう、彼が大っ嫌いなバスケの試合を
なんだろうと思いながら彼が得点板を見ると片方に帝光と書かれていた。その事に目を見開いて選手を見てみるとゴール下に今より少し幼く見える紫原がいた
そしてベンチを見るとコーチから監督にあがったはずの真田に選手の黒子、マネージャーの桃井、控えの選手、そしてオレンジ色の髪をした名前の姿があった
紫原
「さっちんが言ってた…もう1人のマネージャの子…」
本当だったんだー…と彼が驚きながら見ていると彼の脳内に色々な記憶が流れ始めた。全ての記憶が彼に流れた瞬間、彼は手にグッと力を入れ、ポロポロと涙を流していた
だんだんと体育館から空間は真っ白な空間へと戻っており、流していた涙が床に落ちた瞬間オレンジ色の空間へと変化した
その空間は優しく彼を包み込んでいた