第31章 WエースVS光と影
火神の様子を見ていた青峰は「…ったくバカヤローが、このままじゃ負けだな」と急に言いだし、その事にまた桃井が「え?」と声をあげた
青峰
「アイツの考えるようなことなんざ手にとるようにわかるぜ。大方どうせ「ゾーンに入れれば…」とか考えてんだろ…が、このままじゃ一生かかってもゾーンに入ることなんかできやしねぇよ」
桃井
「…え?」
青峰
「ゾーンてのは1回目より2回目の方がはるかに入ることが難しくなる。なぜなら1度体感して知っちまったからだ。あのなんでも思い通りになるような状態を知ってしまえば自然「もう1度…」という気持ちが沸く
けどその気持ちこそ雑念。集中状態であるゾーンに入るために1番あっちゃなんねーもんだ
ゾーンに入るには。ゾーンに入ろうとしたらだめなのさ」
そう語る青峰の視線の先では火神が紫原にダンクシュートを止められており、出てしまったボールを火神が取りに行っていた
そこには青いジャージを纏った彼がそのボールを拾い火神に「なんスかその体たらくは」と話しかけた
彼の名前を火神と黒子、紫原が呼んでいたが、彼はそれを気にせずに口を開いた
黄瀬
「…あれ?知り合いかと思ったら違ったっスね、あんた誰?」
火神
「…あ?何言って…」
黄瀬
「知らねーよ。んな何かにすがってバスケやるよーなヘタレは。どーやら準決は紫原っちとやることになりそうっスねー、よろしっくっス」
火神
「んだとっ…」
紫原
「…そーだね、てか今試合中なんだからあんま話しかけないでよ」
黄瀬
「なんだかなー。こんなんだったら、練習試合の時にやった誰かさんの方がよっぽど怖かったスわ」
火神
「なっ…!?」
チームメイトの所へ戻っていく黄瀬の後ろ姿を見ながら火神は「くそっ…なんなんだ急にあのやろー…」と思いながら、今までの事を振り返っていいた
彼は会場との練習試合を思い出し、「体力も技術も今よりもはるかに足りなかったし、ゾーンに入るなんてとてもムリだった。むしろそれが当たり前で…」と色々考えたら、何か気づいたようだった