第30章 氷室VS火神 紫原VS木吉
紫原はそんな彼らを見ながら先程木吉に言われた事を思い出し、「だったら教えてやるよ。バスケが、どんだけ残酷なゲームなスポーツかってことを…」と思いながら指に力を入れた
誠凛の追い上げに比例して盛り上がる会場。だが、誠凛はそれに伴い士気があがる一方決して浮かれてはいなかった。なぜなら誠凛には懸念があった
1つは木吉の体力、そしてもう1つは試合中常に――いや試合が始まる前から予測していた驚異。すなわち、紫原のOF参加
紫原
「あー…もうこれ以上はムリだわ」
岡村
「紫原」
紫原
「不愉快すぎて、吐きそうだ。お前らみたいのが蠢いてるのは。努力だの、根性だの、信念だの、ヒネリつぶしてやるよ。すべて」
出てきた紫原の迫力に誠凛の選手もベンチも目を見開いて驚き、恐怖のようなものを感じていた
荒木
「(紫原が自ら出たことは想定外だ…が、こちらにとっては嬉しい誤算でしかない。感謝するよ怪物をわざわざ起こしてくれて)」
降旗
「DFの時もすごい迫力だと思ったけど…OFはそれ以上じゃないか?得意分野は守備じゃ…」
黒子
「紫原くんの気性は決して大人しくありません。むしろ「キセキの世代」の中でも好意的な部類です
だがバスケ自体に興味がうすく面倒を嫌う性分のため、中学の後半からDFに特化しOFには最小限にしか参加していませんでした。本来OFの方が得意なくらいです
特に今回のように逆鱗に触れた試合では、1試合で100得点という記録も残っています」
「ひゃっ…!?」
紫原
「教えてやるよ。どんなキレイ事も、ミもフタもなくなるような、理不尽を」
そうして始まった紫原のOFへの参加により彼には木吉、日向、水戸部の3人がついていた。「ハナから1人で止められるなんて思ってないさ」という木吉に紫原は「へー…だから?」と冷酷な対応をした
そして彼は、後ろへ力をいれ進み始めた
日向
「(これが同じ人間か!?3人がかりを何事もないように…アクセル踏んだトラックと押し合ってすみてーだ!!)」
福井からのボールを紫原は高い位置で受け取り、飛びながら体を反転させダンクを決めた