第11章 紫と桃と再会
瞬間、ポツ…と手のひらに冷たさを感じて確認してみると、水が乗っていた
そして地面を確認してみるとそれが水玉模様を作っており、雨だと分かった
実況
「雨ー!?中断!!一時中断にします!
選手及び審判もテントに入ってください!」
氷室
「…フゥ、まいったな…残念だけど勝負はお預けだな」
火神
「待てよタツヤ!」
氷室
「俺も続けたいのはヤマヤマだが、この雨だとじきに中止のアナウンスが出るだろう。それに滑る地面でバスケは危険だ
…特に、先輩が古傷を再び痛めたらコトだろう?」
木吉
「(コイツ…)」
氷室
「とは言えこれで終わりじゃ味気ないな
土産をおいてくよ。タイガの知らない技だ
好きに守っていいぞ」
火神
「(ただのジャンプシュート…?
こんなのヨユーでブロック…)」
誠凛
「「!?」」
火神
「なっっ!?
(今何が起きた!?ただのジャンプシュートに完璧ブロックのタイミングだったハズが…ブロックをすり抜けた!?)」
氷室さんの技名を言うなら陽炎のシュート(ミラージュシュート)を見ながらあたしはとりあえず2号にタオルを巻いておいた
…あ、自分の分の傘忘れた
と少し落ち込んでいると大会中止のアナウンスが入った
氷室
「じゃあな。次会うとしたら」
木吉
「冬だな
次はお互いユニフォーム着てやろうぜ」
紫原
「こりないなー前あんだけやったのに…」
木吉
「…まあな」
口元に笑顔を見せる木吉先輩を雨に打たれながら眺める
足に2号が寄り添うのを感じながらあたしはそっと数秒の間、目を閉じた