第3章 #2 CALL & RESPONSE
"もーいーかい?"
"もーいーかい?"
"あははっ、ふふふっ、ハハハハッ_____"
「ヤダッ…!」
耳鳴り…
汗が尋常じゃない。呼吸が荒い…
どんどん息苦しくなっていく…
助けて、ナイン、ツエルブ…、
「ハァッ、ハァッ…っ」
近くにあった何かを手で滑らせ、床に叩きつける。
力加減なんか知らない。
足音と共にドアが勢いよく開いた。
「名前!?」
「ツエルブ、なんでもいいから袋だ!」
「わかった!」
足音が遠ざかった。
「アイツが、…、ヤダ…っ」
「!?」
来てくれた…。
でも、呼吸は荒いまま…アイツの声が、耳に残ってる。
背中をさすってくれる手が、唯一安心できる。
再びドアが開き、紙袋を口に当てられる。
「吸う量は少なくていい。ゆっくり、」
久々に聞いた、ナインの優しい声色。
「ナイン、紙袋はあんまり長く使わないで、ある程度落ち着いたら普通に呼吸させてみて」
「あぁ、わかった」
紙袋がはずされた。
「はぁ…はぁ…ごめ、だい、じょぶ…」
背中にあった手は今、頭の上にある。
「よかった…どうなるかと思ったよ」
「あとで、落ち着いたら俺たちのところに来い」
「うん…ありがとう」
2人が部屋を出ていった。
「…はぁ…。あーあ、時計壊しちゃったか…」
黄色とオレンジのシンプルなデザインの時計だ。
確か、1人暮らしする時に自分で買ったやつだっけ…
時計を袋にいれ、ひとまず置いておく。
ショートパンツに水色のチュニックを合わせ、胸元まである髪をポニーテールにしてから2人のいる部屋へ向かう。
…壊れた時計を持って。
「また買わなきゃな…」
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