第9章 # 7 DEUCE
車が私の前に止まり、ドアが開いた。
「大丈夫か?」
「ビックリしたけど、大丈夫」
手を差し伸べてくれたナインにお礼を言い、車内に入る。
「おぉう……」
「どうした」
リサとツエルブの距離ってこんな近かった?
「や、別に…なんでもない」
それに対抗するように、私もナインとの距離を縮めてみる。
なんで対抗してんだ…?
「ごめんね、迷惑かけて」
「そんな風に思ってない。無事に帰ってきただけ良い」
「ん、ありがとう」
ナインの膝に頭を乗せ、足元で体育座りをする。
「寝てていいぞ。疲れただろ」
ごめん、とだけ言って、私は眠りについた。
頭に乗せられた手の温もりが、何よりも安心できた。
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