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[残響のテロル]もう1人のテロリスト

第9章 # 7 DEUCE



「お、ナイスタイミング」


リサに近づく男が一人。

動きを観察しながら、静かに、足音を立てずに近づく。

あ、やば。

見えにくいけど、リサの背中に銃口が向いた。


「ねぇねぇ、オニーサン」

素早く、私も銃口を背中にあてがう。

「その子から、離れてくれないカナ」

ゆっくりと振り向く男に、私は笑みを浮かべた。

「仲間ですね?」
「そうだって言ったら?」

挑発気味に答える。

「あなたが今、私に危害を加えるようでしたら、この子と他の2人はどうなるかわかりますね」
「チッ…」

仕方なく銃口をおろす。

「どうすればいい?」
「あなたは私と一緒に来てください」

私とリサの手を引いて、クラレンスと名乗る男は、ある場所に足を進めた。


「そういう事…」
「乗ってください」

リサを飛行機に乗せようとする手を取り、私はリサの耳元に口を寄せる。


「状況が確認できたらツエルブに電話して。それと、管制塔から見える位置に車を出すように伝えて。いいね」

私がそう言うと、リサは大きく頷いた。

「あなたはこちらに」

大人しくクラレンスについていき、予想通り、管制塔へ来た。

「手錠なんかしなくても、別に逃げないっての」
「そう言われたので」


階段を上ると、見覚えのある髪が見えた。

「久しぶりね、今は名前って名前だったかしら?」
「えぇ、久しぶり。ハイヴ。私の名前はそれで合ってるわ」

クラレンスの手からニット帽が外され、髪が元の長さに戻る。

「ふふ、相変わらず綺麗な髪」

さらさら、と私の髪を弄ぶハイヴ。

「反応無しなの?寂しいわ」

ハイヴは、睨みつけている私を見て笑みを浮かべた。

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