第2章 #1 FALLING
都庁___
「…バカじゃないの」
くるリン、とかかれた可愛らしいキャラクターのぬいぐるみ売り場で立ち止まる。
さっきから、2人の影を探している。
それなのに、見つからない…
「わっ!」
「きゃっ…!」
「あ、やっぱりアルだ」
「ツエルブ、ふざけすぎだ」
私の後ろに立つ、人懐こい笑顔を浮かべるツエルブ。
私の横に立つ、呆れたような顔をするナイン。
「名前、さ」
「ん?」
「…名前だから、そっちで呼んで」
「なんか慣れないけど、名前が言うならそうするよ。俺たちの事は、今まで通りでいいんでしょ?」
「うん。ごめんね。ありがとう。それでさ、」
約束、やっぱり今日なの?
私がそう聞くと、ツエルブは意味深に笑った。
「あと3分だ。自家発電が稼働して電源復旧するまで26分」
「了解」
「間取りは覚えたな?」
2人だけで話を進めているが、内容はもうわかった。
「え、ちょっと!あっ、」
電気が、消えた。
「こっちだ」
ナインが私の手を引き、ツエルブとは違う方向に走り出した。
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