第1章 #0 Introduction
休み時間、落ち着こうと屋上へ向かっていた。
ギィ__、と古びた音を立てて屋上の外へ出ると、
二組の目がこっちをみていた。
変わらない、女の子のように大きく、可愛らしい瞳。
変わってしまった、突き刺すような、何かを抱えるような瞳。
「ツエルブ…、ナイン…」
「…お前っ」
聞いたことの無い、低い声が耳に重たく響く。
でも、人違いではない。
「アル、か?」
…その名前で呼ばないで…
「そう、だよ。久しぶりだね」
貴方達しか呼ばない、アル、という呼び方をしてしまったから。
人違いではない。
「なんで、ここに?」
あぁ、思ったより動揺していない。
「お前は?」
「普通の生活がしたかったから」
「そうか…」
「私、もう行くよ。またね。」
2人が何か、後ろで言っていた。
_____________明日、都庁で会うぞ。
_____________約束、だったでしょ?
「明日、都庁…」
「どうしたの?」
「え?あぁ、何でもない」
約束、本当だったんだ。
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