第8章 # 6 READY OR NOT
「あの、私にも何か手伝えることないかな?」
「リサ…」
「お前には無理だ」
「私だってできるよ」
「何をだ?」
「だからその…」
「爆破とか人殺しとか?」
「いやそれは…」
「できるのか?」
「たぶん無理」
「俺たちがやってるのはこういうことだ」
淡々と進んでいく会話の途中でナインが見せた画面には、爆発で怪我をした人達が映っていた。
思わず目をそらす。
「ナイン。この爆発は俺たちのせいじゃない」
「邪魔さえしなければいい。それが何よりの協力だ」
リサの顔はわかりやすく落ち込んでしまった。
「あ、ごめんリサ。洗濯物お願いしてもいい?」
「う、うん」
カゴ持ち、洗濯物を取りにリサは走って行った。
「ねぇナイン」
「言い過ぎだ、か?」
「…よくお分かりで」
やれやれ、という風に私は肩をすくめる。
「確かに正論だけどさ、今恨みなんか買っちゃったら後々困るんじゃないかなって。そういう子じゃないっていうのはわかってるけどサ」
「俺、ちょっと行ってくるね」
リサの後を追いかけて、ツエルブは部屋を出た。
「リサの肩を持つわけじゃないよ?ただ、あんな子にも出来る事があるってワケ」
「…何が出来る?」
「へっへーん、タダじゃ教えないよ」
「チッ………チョコレートケーキ」
「嘘ウソ、別に利益の為じゃないしね。教えるよ」
紙とペンを持ち、ナインの隣に行こうとした時、メッセージを知らせる音楽が鳴った。
「あらら」
「アイツ…!」
ツエルブも、急いで部屋に入ってきた。
「見た?」
私がそう聞くと、大きく首を縦に振った。
早速、送られてきた文章の解読を進める。
「あ、羽田空港国際線ターミナル?」
「ああ。俺たちの標的の一つだ」
「「羽田にVON」これじゃホントに俺たちがやったみたいじゃん」
「おそらくメッセージだろう。「全てはお見通しだ」っていうな」
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