第8章 # 6 READY OR NOT
ぐるぐると、ナインの体に包帯を巻きつける。
「キツくない?」
「大丈夫」
最後に端を止めて、終了。
「はい、終わり」
「ありがとう」
「どういたしまして。ここで寝ちゃう?」
「ん」
もう、目が眠たそうだ。
ナインはうつ伏せに寝転がった。
やっぱ背中痛いのか。
「じゃあ、私は降りるからね」
「…居てくれ」
服の裾をちょっと引っ張り、顔をこちらち向けずに、ナインは呟いた。
「はいはい」
思わず、笑みがこぼれる。
横に腰を下ろし、既に眠っているナインの顔を覗き込む。
…綺麗な寝顔。
頭をわしゃわしゃとしてみると、少し表情が歪んだ。
「…お疲れさま」
ふと、思うときがある。
"あの日"が無かったら、今の私は居なくて、2人が居なかったらとっくに死んでいて、笑うこともできなかったのかもしれない。
そう考えると、すごく不安になる。
「ありがとね…」
私を引っ張ってくれて。
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