第7章 # 4 BREAK THROUGH
部屋を急いで出て行くナインと入れ替わりに、リサが部屋に入ってきた。
「大丈夫?」
「うん。さっきよりは」
「そっか、よかった」
パソコンの操作をしながらリサに声をかける。
「あの、何か出来ることは」
「座ってて大丈夫」
あぁ、もう。
わけわからない。
全然正規のページへ入ることができない。
電波障害、ダミーページへの誘導、爆弾、ナインの耳鳴り…
「まさか…」
1人の顔が浮かんだ。
それを振り払うかのように、頭を左右に振る。
爆発まであと数分。
私にできることを精一杯やるだけ。
何度Enterキーを押しただろうか。
何度電波状況を確認しただろうか。
目と手が痛い。
時間を確認すると、丁度爆破時刻になってしまった。
ナインやツエルブからの連絡は無い。
深く溜息をついた瞬間、新着メッセージを知らせる音楽が鳴った。
「ナイン!?…じゃない」
開くと、
"I found you ^^"
というメッセージが表示された。
するとすぐに、新しいメッセージ。
"I miss you."
「い…やだ…‼︎」
思わず、スマホを落としてしまう。
それからすぐに電話の着信。
「ナイン…」
ナインからだ。
「も、もしもし…」
『大丈夫か?』
「は…ハイ、ヴ…から」
『落ち着いて。すぐそっちに帰る。ツエルブも一緒だから』
「うん…気をつけて」
小さい頃のように、優しく、宥めるように話すナインの声にすごく安心した。
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