第7章 # 4 BREAK THROUGH
「ダメ、こっちも全然繋がらないよ」
「全部のキャリアが同時に電波障害?そんなことある?」
「あるとしたら誰かが故意に電波障害を起こしてる」
「誰かって、誰?」
皆で顔を見合わせ、頷く。
考えていることは同じだ。
「ツエルブは爆弾の撤去、俺は電車の経路を調べて指示をする。名前は、万が一少しでも電波が入ったら、すぐにコレで爆弾を止めてくれ。いいな」
「わ、わかった」
ナインが差し出したスマホを持ち、ソファに座る。
「じゃあ、俺はすぐ出るから」
「気をつけて!」
うん、と笑顔でツエルブは出て行った。
あー、やだな。
"大量殺人犯になっちゃうけど"
ツエルブの言葉が頭の中で反芻する。
「心配するな」
「え?」
「大丈夫だ。かならずやれる」
「…うん。そうだよね」
スマホを握りしめ、何度も電波状況を確認する。
「ツエルブ聞こえるか?」
ツエルブがナインへ連絡をする。
「時刻表から車両の大まかな場所は割り出せるが正確な位置は分からない。今鉄道会社の運行システムの裏から入り込む。追って車両の位置を連絡する。爆発は20時ちょうど。それまでに爆弾を直接回収するしかない」
ナインの言葉を必死にきいていると、突然声が途切れた。
「ナイン!?」
耳を抑え、だんだんと呼吸が荒くなっていくナイン。
急いで水を持っていき、背中をさする。
「名前…こっち頼む」
「え、あ、わかった!」
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