第7章 # 4 BREAK THROUGH
「でもさまずい食事ってのもある意味貴重かもよ」
「えっ?」
「だってさあそこで食べた食事の味覚えてる?味とか全然思い出せないんだ。
食事ってあそこじゃただの作業だったから」
確かに、そうだったかもしれない。
今みたいに楽しい食事って訳では無かった。
「…そろそろ時間だ」
それぞれの仮面を手に、ナインがセットしたスマホの前に立つ。
「スピンクス一号です」
「爆弾と料理をおいしく作ってくれる彼女募集中!二号でーす」
リサへの当てつけか。
「美味しいお菓子が食べたいなー、三号ですっ」
「さあ皆さん僕たちが映ったってことはもう分かってるよね?」
「なぞなぞの時間だよ」
「さーて今日の問題はブドウの木を植えた天使さまFEZ5889の罰に処す」
「執行された場所はどーこだ?タイムリミットはー、今日の20時だよ!」
「解けなかったら今日も元気にどこかがドッカーン!」
「じゃせいぜい頑張って」
よく一発で決まるなぁ。
と感心する。
あとはアップするだけ。
きっと警察は監視してるだろうか、動画はすぐに見つけられるだろう。
「ナインさぁ今回のなぞなぞちょっと簡単過ぎない?」
「難し過ぎて解けなくなっても困るからな」
「やっぱわざと簡単にしてるんだ?」
「ああ。この柴崎って刑事なら今回の件でそろそろ爆破場所の関連性に気付くころだろ。俺たちが要求を出さなければその目的を知るために関連性を探っていくはずだ」
「ずいぶんその刑事に信頼が厚いんだね」
「えっ?」
「ハハッ。冗談だよ、冗談」
柴崎健次郎…か。
かなり頭が良さそう。
真面目。正義感が強い。
厄介だなぁ…それでいて、とても頼もしい。
床に敷いたマットの上に寝転び、様々なニュースページを行ったり来たりする。
「んー…」
ほとんど大きな変化は見られない。
「そっちは?」
「何もなーし」
「同じく」
「妙だな。爆弾を撤去されたことが報道されてない」
「案外なぞなぞ解けなかったとか?」
「そんなはずはない。あの刑事ならとっくに分かっているはずだ」
「どうする?あと1時間ちょいで大量殺人犯になっちゃうけど」
「それな嫌だよねぇ」
ツエルブが頷く。
「いざとなったらこれで解除するさ」
「あれ?」
「どうした?」
「電波が来てない」
.