第7章 # 4 BREAK THROUGH
「い…いただきます」
恐る恐る、フォークを突き刺したが、感覚がやばい。どうしようこれ。なに、殺られるまえに殺っておけ、とかそういう意味で作ったのこの子。
ここまできたら食べちゃえ。
一口、思い切り口に入れた。
「うぐっ…」
「あの…ちょっと失敗しちゃったんだけど。どうかな?」
あ、失敗した自覚はあったんだ。
ちょっとだけ。
「まずい」
「えーっ!」
「食えたもんじゃないね」
ちょっと!ストレートに言い過ぎじゃない?名前は?」
「なんだろう…色々混ざり合って複雑な味ができてる…どうやったらこんなもの…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
「名前が壊れたよナイン!」
意識が朦朧としてくる中、ナインから水が手渡された。
「ぷはっ…ありがと」
「そんなにダメかな…」
「じゃあ、食ってみ?」
ツエルブに言われ、リサも一口、口に運んだ。
「うっうう…。まずっ」
「ほら〜」
「大体誰もこんなもの作ってくれなんて言ってない。役に立つことをアピールするつもりだったらまったくの逆効果だ」
「りょ…料理は私が作るからさ…」
うぇ、まだ舌が変な感じする。
「ちゅうか顔赤いよ。まだ熱あるんじゃない?」
「うぅ…」
「いいから。まだ寝てなって」
「私の部屋使っていいからね」
お礼だけ残し、リサは部屋を出ていった。
「こ…殺されるかと思った…」
「名前の料理って改めてすごいと思った…そういえば、何であんな上手く作れたの?」
「んー、感覚?」
「へぇー、名前に教えてもらった通りにしても俺たちじゃあそこまで美味しくできなかったよね、ナイン」
ナインも肯定する。
でも、頑張ってそれなりに上手にはできていたようだ。
教えておいてよかった。
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