第1章 #0 Introduction
「なんだったー?」
先生の用が終わり、友達の前にある椅子に座る。
「んー、なんか夏休みの課題持ってけってだけ」
「副ルーム長男なんだし、そいつに頼めばいいのにね」
「あははっ、確かに。私よりは遥かに早いよ」
教室に女の子らしい声が響く。
彼女の声は良く通る。
「え、大丈夫だった?」
「大丈夫大丈夫、次はよろしく」
「おう!」
副ルーム長、と呼ばれる男子、椎葉が素早く反応した。
距離は近くは無く、それでも駆け寄ってくるあたり、彼女は慕われているのだと思える。
「あ、そういえば転入生くるらしいよ。私らのクラスじゃないけど2人!」
「え、嘘!イケメン⁉︎」
「や、私はみてないや。ごめんね」
さっき職員室に行った時に先生が話していたのを聞いただけだ。
しかし、さっきからなんだか手が震えている。
動悸が激しい…
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