第7章 # 4 BREAK THROUGH
「そろそろ帰ってくる頃か」
「え、何。迎えに行くの?」
玄関に歩いていくナインの後ろについて行ってみる。
「いや、待ち伏せ?」
「お父さんか」
真面目な顔をして言ったナインに、思わずそう言ってしまった。
「ははっ。だって、よく知らない女が突然部屋に入ってくるよりはいいだろ」
「まぁ、確かに…」
ナインらしい。
というか、ナインが笑ったのってかなりレア。
「あ、足音」
微かだが、二人分の足音が聞こえた。
そして音が止み、数秒後にドアに手を掛ける音がした。
ドアが開き、怖い顔をしたナインを見たツエルブは、「あ、やべ」って顔をした。
「あっ、あのさ…」
「ダメだ」
「即答…」
間髪入れずにナインは答えた。
リサちゃんの方を伺うと、やっぱり落ち込んだ表情をしている。
「でもさほら顔知られてない人間がいた方が何かと…」
「信用できない。わかってるのか?俺たちには時間が無いんだぞ」
「だからってリサは…」
あ、"リサ"呼びになってる…
前まではアイツ、とか三島リサ、とかだったのに。
と思っていると、ドサッと鈍い音が響いた。
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