第6章 # 3.5 She is not a decoy.
「ほら、戻るぞ」
椅子から立ち上がり、手を差し伸べてくれる。
「うん」
手を握り、ベッドから降りる。
「ナイン、ありがとう」
「こんなの、いつもの事だっただろ」
「はは。確かにそうだったかも」
小さい頃と何も変わらない。
"俺たちとお前の関係は昔と変わってないよ"
今なら、この言葉を信じられる。
手を繋いだまま、ツエルブのいる部屋まで行く。
自然に流れていくから違和感なんか感じない。
「お姫様のお帰りですかー?ってあれ、なんで手繋いでんの?」
「「え?」」
私とナインの声が被る。
そして、2人で視線を手元に下げ、どちらからともなく手を離してしまう。
「別に慌てることないじゃん?いつも2人は手繋いでたし」
いたずらっ子のように笑った後に、ツエルブは意味深な笑顔を残した。
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