第6章 # 3.5 She is not a decoy.
カラカラと回転する椅子をベッドの近くに寄せ、ナインはそこに座る。
「なに」
布団で体全部を覆い、目だけナインに向ける。
「囮とか言うな。お前は"仲間"だ。ただの"駒"じゃ無いんだよ」
「でも、そうでもしないと2人の役に立てない!」
思わず、布団を投げてしまい、ナインと向き合う形になってしまった。
ナインの目には、明らかに怒りの色が見える。
「っ私は、2人と一緒が良いの!守られてるだけなんて嫌だ!」
それでも私は、ナインの目を見てそう言った。
呆れられるな、と思った。面倒臭い奴だと思われたかもしれない。
でもナインは目を細め、微かに笑った。
「わかった」
「え?」
「いくつか、条件を出すぞ」
大きく頷き、ナインの条件とやらを聞く。
「絶対に無理をしないこと。俺たちの指示の中で動くこと。いいな?」
「うん!」
無理をしないこと…。
ナインなりの心配、なのかな。
自分だって無理するくせに。
でも、条件は必ず守る。
2人の足を引っ張らないためにも、自分の為にも。
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