第6章 # 3.5 She is not a decoy.
学校でもそうだった。
自分にできることは何でもやった。
利用されてても、都合のいい奴だと思われてても、私を認めてくれるなら、必要としてくれているのなら、それでいい。
それ以外は求めなかった。
それと同時に、誰かに捨てられるのを恐れた。
嫌だよ。
2人にだけは、絶対捨てられたくない。
「…ごめん、忘れて」
呆然としている2人に顔をみられないように、自室へ戻る。
ドアを開け、ベッドへ体を沈める。
枕元に新しい時計が置いてあるのが見えた。
やっぱり優しい人達なんだ。
だからきっと、2人は三島リサを助ける。
嫌だ。こんな考えをしてしまう自分が嫌だ。
「はぁ…」
大きな溜息をひとつ。
視界が滲む。
大嫌いだ。
「名前」
開いたドアから見えたのは、明らかに怒った顔をしているナイン。
「何」
部屋に一歩入ったところでナインに背を向ける。
鍵無いからすぐ入れるんだった。
忘れてた。
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