第24章 風なびく
ミーナが目覚めてから数日たったある日、XANXASとミーナは町はずれのとある霊園に来ていた。
『久しぶりに来るね』
沈黙を破るようにミーナがXANXASに話しかけた。
「あぁ」
苦々しそうな笑みを浮かべXANXASは深く深呼吸をした。心地よい風がふいている。XANXASの手元にある花束が風に揺れた。
そしてミーナの両親が眠る墓の前で足を止め、静かに花束を置いた。
「お前をこんな目に合わせてレナードさん起こってるんだろうな」
『ううん、そんなことない。私ね、今なら分かる気がするんだ』
「分かる…?」
『私やXANXASや、その周りにいる大切な人みんな、お父さんとお母さんが守ってくれてたんじゃないかなって。それとね、本当は九代目とXANXASが分かり合うことを望んでたんだと思う』
「お前は、お前は最初からそれに気づいていたのか…?」
『うん、なんとなくね』
「じゃあっ!!」
『でもね、私にはそれを止める勇気も理由もなかった』
XANXASは今にも泣き出しそうなミーナを抱きしめた。
「どうしてだ。お前には俺を止められるだけの力があったはずだ。どうして止めなかった、どうして泣きそうな面してんだ」
『そんなの簡単だよ。XANXASの気持ちが痛いほどわかったから。そして何よりXANXASのことが誰よりも大好きだから。どんなことがあってもずっとずっと一緒にいこうって思った』
「そんな理由であんな危険なことまでしたってのか」
『ええ、だってスクやみんなもいたしなにも怖くないよ』
XANXASはフッと柔らかく微笑むとミーナに触れるだけのキスを落とした。
「お前は本当に馬鹿で世界一の女だ」
『XANXASこそその右のポケットに入ってる素敵な指輪を出せないでいるシャイで世界一の男だよ』
「チッ。ったくミーナには敵わねえ」
ばつが悪そうな顔をしてXANXASはポケットから指輪を取り出した。
「ミーナ、結婚してくれ」
『はいっ…!』
ミーナを自分の方に引き寄せるともう一度優しくキスをした。
2人を包むように優しい風がなびいた。