第9章 血まみれの双子・トゥイードル=ディー&ダム
「…あ、あなたたちは怪我はないの…?」
やっと出せた言葉が、それだった
双子はきょとんとした顔でこちらを見つめる
あどけなさが残った、純粋な少年の顔で…
「もちろん、ないよ?お姉さん、心配してくれたの?」
「僕たちは大丈夫だよお姉さん…。だから…、…!!」
双子は同時に後ろを振り向き斧を真横に構える
――がきんっ
もの凄い金属音が近くから聞こえて、とっさに目を瞑ったアリスの視界に一瞬捉えられた赤
「あれ?受け止めちゃったんだ?あっはははは!成長したね、双子くん?」
爽やかな冷たい声
恐る恐る目を開けると、エースの剣を辛うじて受け止めた双子の姿が目に入った
「ディー!ダム!」
「大丈夫、だよ。お姉さんッ」
「僕たちが、お姉さんを守るから…!」
顔を少し歪めながらアリスを見る双子
その姿に心臓が早鐘を打つかのように耳にまで心音が響いた
「かっこいいね、双子くん!…でも、まだまだだよ…ッ!!」
エースの剣が双子の斧を受け流すと、斧ごと双子をなぎ払った
「…ちっ」
「…くそっ」
双子の体格では、大人のエースには及ばない
それを本人たちも自覚しているから尚更、悔しい
「あのなぁ、俺、こう見えてもハートの城の軍事責任者なんだぜ?いくら役無しのカードを殺しても換えがいるからって、たくさん殺すのは控えてくれよ。ペーターさんも怒ってたぜ?」
「いっつも迷ってばっかで、ろくに城まで辿り着けないくせに!」
「そうだよ!僕たちだって、お前を倒すことくらいできるよ!」