第9章 血まみれの双子・トゥイードル=ディー&ダム
*時計塔広場*
「…どうしてこうなるのよ…」
(…ピンチだわ)
アリスたちはハートの城の兵隊に囲まれていた
双子はアリスを庇うように立ち、斧を構えている
「ブラッディ・ツインズだ…」 「あの双子たちだ」 「帽子屋屋敷の連中め…」
相手の殺気がこちら側にも伝わって来るが、対する双子は楽しそうだ
「ラッキーだね兄弟。わざわざ探す手間が省けたよ」
「そうだね兄弟。特別手当てでるかな?上手く殺ったら、ボーナス出るかな?」
「お姉さんも見てるから、かっこいいところ見せなくちゃ!」
「ずるいよ兄弟。一人だけ好感度を上げようとするなんて…」
会話しながらも、斧はハートの兵隊たちに向けたまま
楽しそうに会話している中にも隙がなく、向こうが少し動くと斧を握る手が少し反応する
この双子は間違いなく強いのだ
「…そろそろ殺っちゃおうか兄弟」
「…そうだ…、ねッ…!」
ディーがハートの兵隊たちに単身突っ込んだ
彼の周りで赤が舞う
ダムは背にアリスを庇い、近付いてきた兵隊を次々に斬り捨てていく
わらわらといた兵隊たちの数も双子の手にかかればあっという間に片付いてしまった
「…こんなもんかな?…お姉さん、大丈夫?怪我はない?」
頬に返り血をつけたディーが駆け足で戻って来た
「僕がいたから大丈夫だよ兄弟。お姉さんに怪我なんかさせるわけないだろう?」
ダムも所々に返り血がついている
二人とも、全然息が上がっていないのが不思議だった