第1章 ハートの騎士・エース
驚いたようなエースだが、アリスは彼の手を取って自分の左胸に置く
「…本当だ」
そう呟くと、エースは彼女をゆっくり起こして抱きしめた
「エース…!!」
「君が、好きだ」
どくんと心臓が跳ねる
アリスが最も求めていた、姉でもない自分を見てくれる人…
「君が好きなんだ、アリス。いくらユリウスでも、君は渡せない」
(……!!…落ちた…。完敗だわ…)
あのユリウス以上だと言ってくれたエース
それが、アリスにとっては何よりも嬉しかった
きっとユリウスよりも大切な存在にはなれないだろうと思っていたから…
「エース…私も、好きよ…?」
時計の音がする彼の胸に顔を埋めて、ぎゅっと抱きしめる
「私、時計って怖かったし、エースが時計を回収してるって聞いた時は本当に信じられなかったわ。けど、今はあなたの時計の音が好き…」
「アリス…」