第8章 三月ウサギ・エリオット=マーチ
「わ、わかったわよ!許してあげるから!」
(だから、そんな目で見ないで!)
「…!! 本当か、アリス!!」
パッと明るくなったエリオット
さっきまでしょぼんと垂れていた耳もピンと立ち、嬉しそうにピコピコ揺れている
――うずうず
そのモフモフの耳をむんずと掴んで、ぎゅむぎゅむしたい欲望を何とか我慢するアリス
「ありがとう、お姉さん!」
「お姉さん大好き!」
そう言うと、双子たちはぎゅーっと抱きついてくる
…斧を持ったまま
「ゆ、許すから離れて!お願い!切れちゃう!!」
「? 斧が良く切れるのは当たり前だよ、お姉さん?」
「そうだよ?ちょっとスパスパ切れて、少し血がドバドバ出るだけだよ?」
(ちょっとがスパスパ切れないし、血がドバドバ出るのは少しとは言わない!!)
だんだんと青ざめるアリスから双子の重みが消えた
ベリッという効果音がつきそうな勢いで、エリオットが引き剥がしたのだ
「助かった…」
「こら、お前ら!アリスを困らせんじゃねぇよ!」
「何するんだよ!バカウサギ!!」
「首根っこ掴んで持ち上げるなんて暴力だ!子供虐待だ!今すぐ離せよウサギ!!」
「だから俺はウサギじゃねぇ!!」
そしてまた、アリスの目の前でドタバタ キンキン バンバン…
「…いい加減にしなさいッ!!」