第6章 看守・ジョーカー
ジョーカーは二人いる
彼らは二つで一つのカードだから
物腰柔らかそうな方を「ホワイトさん」
口が悪い方を「ブラックさん」
…と、アリスは呼んでいる
「それよりジョーカー、あいつらは?」
「あぁ、問題ないぜジョーカー。そろそろ来る。心配しなくてもちゃんと連れていくさ」
ブラックさんの目の先
監獄の突き当たりから、何やらたくさんの足音が聞こえてくる
(…なに…?この嫌な感じ…。…だけど…)
無意識に胸の前で両手を握るアリスの肩を優しく抱き、ホワイトさんは言った
「罪人たちのお通りだ」
その優しい声音の裏に隠された[絶対に見ろ]という命令
アリスは顔も動かせず、瞬きもせず、それを見せられる
両手に手錠をつけられ、さらに手錠からのびた鎖によって一列に並ばされた罪人たち
動物の着ぐるみの頭を被った彼らの列は、滑稽なんかじゃなく酷く不気味に見える
(……私も…)
「…あの列に並ばなくてはいけないの…?」
彼女が発した一言
その一瞬でアリスは罪人たちの列の最後尾を歩いていた
両手に手錠をつけて