第6章 看守・ジョーカー
「私、いつの間に…!!」
「君が望んだんだよ、アリス…」
傍らに立ち一緒に歩くホワイトさんがアリスに優しく話しかける
その優しさが、怖かった
「君は罰を望んでいるんだよ」
(………そう、私は罰を望んでいる)
アリスの瞳に暗い影が落ちる
罪悪感と後悔
元の世界を、大好きな姉を捨てた自分
まだ迷っていた
残るべきか
帰るべきか
残れば姉は悲しむだろうが、元の世界は何も変わらない
帰れば悲しんでくれる人がいるが、あの大好きな日曜の昼下がりの時間に戻れる
天秤はどちらにも傾かない
それが、アリスを散々悩ませていた
「てめぇは罰を受けなきゃならねぇ、…罪人だからな」
ブラックさんはにやりと笑う
(…私は、罪人…。咎人…。)
アリスの目の前がぐにゃりと歪み、見えていた罪人の背中が鉄格子に変わる
「…やっと捕まえた」
「ずっとお前を待っていたんだぜ?」
二人のジョーカーが手を差し伸べる
「…………」
アリスは鉄格子の隙間から両手を伸ばし、彼らの手を取った