第4章 白ウサギ・ペーター=ホワイト
真っ白なサラサラの髪をゆっくりとなでてあげる
時々耳に触れて、ピクリとくすぐったそうに微かに揺れる
「…大丈夫よ、ペーター…。私、どこにも行かないわ…」
「……アリス…?」
彼の真っ赤な二つの目がアリスを捉える
「…私がいなくなったら、あなた本当に死んでしまいそうだもの…」
「…! …そうですよ。寂しくて死んでしまいます…。僕は寂しがりやのウサギさんなんです…」
そう言うと腰に回された腕の力が、まるで離さないというようにぎゅっと強くなった
「…ペーター、私、あなたのことが好きみたい…」
彼の耳がピンと立ち、アリスはもう一度頭をなでた
「本当ですか、アリス…」
(鬱陶しくてストーカーみたいで…、最初は何だこいつって思ってた…。でも、どんな理由の執着であれ、彼ほど「私」を見てくれた人はいないかもしれない…。私、この世界に残りたいわ…)
――ぱりん
どこかでガラスの割れる音が聞こえた
途端に、帰らなければならないと思っていた気持ちがすぅっとなくなる
ペーターも、アリスの変化に気付いたようだった
「ペーター、この世界に連れてきてくれて…。私を好きになってくれて、ありがとう…」
夕陽に照らされた二人の影は次第に近付き、そして一つになった