第4章 白ウサギ・ペーター=ホワイト
「わかった!わかったから!首ははねないで!」
「…これも冗談じゃ…。お前といるとイライラしない。そうだ、妾の部屋へ来ないか?二人っきりで楽しいことをしよう…?」
更に真っ赤になるアリスを見ながら、ビバルディは楽しそうに笑う
だが、それも一瞬
近付いてくる足音の主に、あからさまに嫌な顔をする
「彼女を誘惑するのは止めてください、陛下」
「なんじゃ、ホワイト。妾はこの子と楽しく紅茶を飲んでいる。仕事ならキングにでも任せれば良かろうに」
アリスの後ろにはいつの間にかペーターが立ち、ビバルディに冷たい視線を向けている
その手には懐中時計が握られていた
「ちょっと、ペーター!やめてよ!」
「アリス…、あなたは僕の愛しい人なんです。ずっと傍にいてください…」
「……!!」
泣きそうに歪んだ彼の顔
それを綺麗だと、アリスは思った
夕焼けに照らされたビバルディより、ずっと
「あなたがこの世界に留まってくれる理由が僕以外でも構わないと、思っていたんです…。でも!…あなたのことは誰にも渡したくない…。…好きなんです、アリス…」
毎日のように繰り返し聞いた「好き」という単語
中身のない言葉だと思っていたそれが、今は違うように感じた
(…ペーターが私を…、好き…?)
ビバルディもその変化を感じたのか、面白そうな顔をして立ち上がった