第4章 白ウサギ・ペーター=ホワイト
「お前、またホワイトの餌食になったのか?」
アリスが仕事を終えた頃合いを見計らって、ハートの女王・ビバルディがお茶会を開いた
といっても、彼女と二人きり
紫色の巻き毛が夕焼けを浴びて一層、彼女を妖艶に輝かせる
(綺麗だわ…。やっぱりビバルディは綺麗…)
うっとりと見つめるアリスに気付き、すすす…、とビバルディは近付く
「なんじゃ?妾に見惚れたか?」
形の良い唇を三日月のようにして、彼女は妖しく微笑んだ
「えぇ…。だってあなた綺麗なんですもの…」
「ほほほ…。正直な子じゃ…。のぅ、アリス…、あんな陰険ウサギなんかやめて妾のものにならないか…?」
「………へ?」
その言葉の端々に何やら怪しい響きを感じ取り、アリスは真っ赤になる
「ペーターとはそんなんじゃないわよ!あいつが勝手に纏わりついてきて…」
「わかっておる。ちょっとした冗談じゃ、やはりお前はからかいがいがある…」
そう言って紅茶を一口飲む
(そうよ…、ペーターとは本当にそんなんじゃないんだから…)
アリスの意思を無視して、勝手にこの国に拉致してきた白ウサギ
でも、何か忘れている気がしてならないのだ
ペーターについて何か…
「妾といる時に他の…しかも男のことなど考えるな。寄りによって、あのホワイトだと思うとイライラして首をはねたくなる…」