第3章 チェシャ猫・ボリス=エレイ
――ぼよんっ
ひゅるひゅると落ちた先にはこれまた巨大なトランポリン
ぼよんぼよんと飛び跳ねて、やがて地面に足をつけることが出来た
「…どうやって抜け出すのよ」
「うーん…、バカみたいに広いからなぁ…。おっさん、トラップって言ってたし…」
(下手したら、抜け出せないんじゃ…)
背中をさっと悪寒が走る
それを知ってか知らずか、ボリスがキュッとアリスの手を握った
「えッ…」
「この方がはぐれないだろ?これだけ広いんだ。二手に分かれるのはマズい。おっさんが仕掛けたトラップなら、俺と一緒にいれば簡単に回避できるよ?」
繋いだ手から暖かさがじんわりと広がっていく
アリスは頬に熱が集まるのを感じながら小さく頷いた
(ここが薄暗くて助かったわ…。こんな顔見られたら恥ずかしいもの…。それに、何故かボリスが頼もしく見える…)
ちらりと彼を盗み見ると、視線に気付いて軽く笑ってくれた
ただそれだけでアリスの心臓はせわしなく動く
「さ、行こうぜアリス!」
ボリスと手を繋いだまま、巨大迷路の攻略へと(どこぞの騎士ではないが)旅立った