第1章 ハートの騎士・エース
「溜め息なんてついて、どうしたんだ?…まさか、またペーターさんに何かされたの?」
ペーター=ホワイト
アリスを(無理矢理)このハートの国に連れて(拉致して)きた張本人
「ペーターはいつものことだから、もう諦めたわよ…。それよりエース、あなたどうしてこんなところにいるの?」
「あぁ、そうだった!君を旅に連れて行こうと思って!」
「……は?」
(誰を、何に連れて行くですって…?)
エースの言う旅…
それは途方もない迷子への道連れだ…
「城の中でメイド達の仕事を手伝ったり、残虐な女王の相手をしたり、ストーカーチックの宰相様に疲れてるから、溜め息が出るんだよ」
腕を組み、うんうんと頷く彼を張り倒したい衝動をぐっと堪える
(大半はあんたのせいだ…とは、言えない…)
「わ、私は大丈夫よ?それに、今は休憩中だけどあと3時間帯で仕事が…」
「そうと決まったら、早速出発しようぜ!」
「…話を聞け」
…そんなこんなで今に至る
抵抗も虚しく、ずるずるずる〜〜〜〜と引きずられ…
(初めは良かったのよ…。だけど…ッ!!)
散歩道を歩いていたのに、「近道を知ってるんだぜ」と脇道に逸れ、獣道をひたすら歩き、挙げ句の果てにお腹を空かせた熊に遭遇…