第2章 時計屋・ユリウス=モンレー
どういうことなの…
そう開きかけた唇をユリウスに塞がれる
「………ッは…」
彼の慈愛に満ちた瞳には、頬を真っ赤に染めたアリス自身が映っていた
「…怖く、なったんだ」
「どうして…」
「…当たり前が、当たり前ではなくなるのが…怖くなった。ここにお前という存在がなくなってしまうのが、怖かった」
ユリウスはアリスを抱きしめる力を強くする
「初めは鬱陶しくて強引で気の強い女だと思っていた。だが、ここでお前と過ごすうちに変わっていった…。…お前が掠っただけとはいえ撃たれた時は、血の気が引いた。そして思った」
早口で言い切りアリスを見つめる
(…私も、偏屈で毒舌で融通の利かない頑固な人だと思っていたわ…)
「私は…自分が思っている以上に、お前を大切に想っていたのだ…、と」
そしてまた唇が重なる
不器用ながらもそれはゆっくりと深くなっていく
「…お前は?」
そんなの答えは決まっていた
「…私も、好きよ。家族以上にあなたのことが…」
お互いに微笑み、温かな雰囲気に…
――ばぁん!!←
「ただいまぁ、二人とも!…って、どうしたんだ?」
「〜〜〜〜ッ、エースッ!!!」