• テキストサイズ

〜時計仕掛けの夢〜

第2章 時計屋・ユリウス=モンレー


*時計塔・仕事部屋*


「…すまない」

ユリウスの小さな声が空気に溶けた

手当てをしてもらっているアリスの体の震えは止まらない

…時計屋とは、疎まれる役なんだ

いつか聞いたユリウスの言葉を思い出す

彼らの心臓代わりの時計を直すのがユリウスの仕事

一見すると役に立つ仕事だと捉えるが、違う

時計屋…別名「葬儀屋」

直す時計は善人もいれば悪人もいる

直った時計はまた生前の役なしとして蘇る

その時計が壊れない限りずっと、終わりなきゲームの駒としてこの世界で生きるのだ

「…アリス、大丈夫か…?」

「………ッ…」

アリスの視界がぼやけ、彼女の瞳からは大粒の涙が零れた

「お、おい、泣くな!泣くなアリス!…ったく、しょうがない女だ…」

ポロポロと涙を零すアリスをそっと抱き寄せ、優しく背中を撫でてやる

(…ユリウスの匂い…)

機械油の匂いがふわりと漂ってアリスを包んだ

「…お前が死ななくて良かった」

「……え…」

「お前はかけがえのない存在だ…。この世界にとっても、そして、…私にとっても…」
/ 112ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp