第2章 時計屋・ユリウス=モンレー
――ばぁんッ
「やぁ、ユリウスにアリス!」
「えっ…」
「エース!貴様、部屋に入る時くらいノックをしろ!」
「え〜。2人は、ノックをしなきゃいけないようなことをしていたのか?」
「断じてしていない!!」
思い切り扉を開けて爽やかに登場した、エース
エースがこうしてユリウスを訪ねてくることは少なくない…が、物凄く時間がかかる
「あはははは!冗談だよ!…いやぁ、久しぶりに時計塔まで辿り着いたぜ!421時間帯振りだな!!」
「…正確に言えば428時間帯振りだ」
ユリウスの眉間のシワが深くなる
アリスもエースは友人として好きだが、少し苦手だ
「それよりも…どうしたの、エース?」
「ん?いや、どうせまたユリウスが時計塔に引きこもって外に出てないんだろうと思って!」
(あ、嫌な予感)
ユリウスも同じことを思ったのか、エースとは視線も合わせずに工具を持ち時計の修理を再開させる
「こんなに良い天気なのに、外に出なきゃ損だぜ?だからユリウス、俺と旅に出よう!!」
「絶対に行かん!!」
心底嫌そうな顔でユリウスがエースを睨む
外には滅多に出ないユリウスをエースが引っ張って連れて行くのは、今に始まったことではないが…
相手はあのエースだ
確実に疲労困憊になるのは目に見えている