第2章 時計屋・ユリウス=モンレー
「…なかなかユリウスみたいな美味しい珈琲にはならないわね…」
自分でいれた珈琲を飲みながらアリスは眉間にシワを寄せる
元々アリスは紅茶派だが、時計塔に滞在してから珈琲派のユリウスに合わせて普段から珈琲を飲むようにしていた
「本当にお前は負けず嫌いというか、諦めが悪いというか…」
はぁ、と何度目かわからない溜め息がユリウスの口から漏れる
だが、その表情は決して疎んでいるようには見えない
だから、アリスも「次はもっと…」と思ってしまうのだ
(100点満点の珈琲をいれられたら、どんな顔をしてくれるかしら…)
「…おい、にやにやするな。気色悪い」
「そんな顔してないわよ!」
(…どうしてなのかわからないけど、ユリウスの前だと素の自分で居られる。変にいい子ぶったりせずに居られる…)
アリスにとって彼は友人以上に大切な存在になる日は、そう遠くはなかった