第1章 ハートの騎士・エース
「…何やってるの、ペーターさん?その子を何処に連れて行く気?」
エースの冷たい赤い目がペーターを見据える
すっと剣先をペーターに向け、アリスをちらりと見た
「…ペーターさんに何もされてない?」
「え、えぇ…」
「何ですかいきなり。彼女を何処へ連れて行こうが、年中迷子の君には関係ありませんよ」
「…この子はペーターさんのじゃない」
エースを取り巻く空気が変わる
それに気付いたペーターは「…チッ」と舌打ちをして、
「今回は邪魔が入りましたが、僕の部屋へ招待するのはまた今度にしましょう。僕も命が惜しいので、退散します…」
そう言うと、あっという間に立ち去って行った
「…アリス」
「はいっ!!!」
さっきのエースを見た後だ。アリスもエースの凄みに当てられてしまった
「…君は、ずっと俺のものだよな」
(…あぁ、彼は怖いんだ)
そう思うと、自然と笑顔になれた
「当たり前よ。私にはエースしかいないんだから」
「…どこにもいかないでくれよ?そんなことされたら、…殺したくなる」
そしたらずっと傍にいれるだろ…と、小さく聞こえた声にアリスの心は高鳴った