第1章 ハートの騎士・エース
(私も、この世界に毒されてきたみたい…。狂っているわ。あんなことを言われて、嬉しいと思うなんて)
どこかで時計の針の音が聞こえた気がした
彼の寂しさを埋められるのが私なら、なんて嬉しいだろう…
そう思いながら、アリスはエースからの口付けを受け入れた
暗い過去があるのも知っている
ユリウスがかけがえのない存在だとも知っている
小さい頃、路頭でうずくまっていたエースを拾ってくれた恩人
だが、そんなにも大切なユリウスでさえ私を渡したくないと言ってくれた
彼の「特別」になれた
…彼になら、殺されても構わない
それで彼が寂しくなくなるなら、それでいい
それ程、私は落ちてしまった
深い深い穴に
Fin