第1章 ハートの騎士・エース
*数時間帯後・ハートの城*
「…っくしゅん!」
「アリス、風邪を引いてしまったんですか!? すぐに医者を…」
「いいのよ、ペーター。たいしたことないから近寄らないで」
「あぁ、アリス。僕にうつすといけないなんて考えなくていいんですよ。あなたになら、風邪菌でも雑菌でも何でもうつされて大丈夫です!」
「雑菌はいない!」
ばきっ←
「はうぅッ!!」
お花の咲いた彼の頭を思い切り殴ってやる
(気をつけてたつもりだったんだけど、やっぱり風邪引いちゃったかも…)
焚き火であったまったとはいえ、お互いずぶ濡れだったのだ
時間帯が変われば元には戻るが、あの時は夜が長かった
(私ってば、どうかしてたわ。思い出すだけで恥ずかしい…)
「アリスアリス、じゃあ僕が看病して差し上げます!」
「はぁ!?」
(じゃあって何だ!)
「さぁ、僕たちの部屋へ行きま…」
その時、ペーターの顔が真顔に変わりその場から飛び退く
代わりに、ぎらりと光る刃がペーターのいた場所に振り下ろされた
「……エース君」