第3章 浴衣姿◇仁王雅治◇
が選んだのは簪。
綺麗だし浴衣に似合いそう!って理由らしい。
それを早速頭に差して、クルリと一回りしちょる。
「どう?」
「回る必要、ないんじゃないかのう」
「いいじゃん。素直に感想を言ってよね」
「さあのう……。そういうんは分からん」
「ひど…!」
「嘘じゃよ。……似合っちょる」
「……っ!ちょっと耳元で言うとか…!」
「なんじゃ……ブルっとしたか」
「してないっ!」
「俺はさっきからウズウズしちょるき、帰っ……」
「兄ちゃん不正したろ!」
「……いかん、バレたか。逃げるぜよ」
「え?!ちょっと!」
「いいから着いて来んしゃい」
どういうわけかズルしたのがバレたようじゃ。
チクったか…?
とにかく捕まると面倒じゃ、逃げるが勝ちぜよ。
「何処まで行くの…?!返したらいいんじゃない?!」
「お前さん気に入っとるんじゃろ…?返す必要はないぜよ」
「でも…!」
「あそこに隠れるか……。こっちじゃ」
「うわあっ!!」