第3章 浴衣姿◇仁王雅治◇
「おじさん、指輪が一緒に飛んでしまったんじゃが……」
「おう!ちょっと待ってな!」
イカ焼きを食って、今はゲーム中じゃ。
輪投げみたいなモンぜよ。
景品に良い物があったらしくての、おねだりされたわけじゃ。
「ねぇ……本当にいいの…?」
「騙される方が悪い。精々探してもらうぜ……よ、っと……」
指輪なんて嘘じゃよ。なんも飛んじょらん。
店番が屋台の裏側まで探しに行ってるスキに……輪っかを入れるってわけじゃ。
ん?投げん投げん。
置いてくるんじゃよ、中に入ってな。
「すまんな兄ちゃん!なかったわ!」
「なら仕方ないのう……大丈夫か?」
「へっ?」
「(合わせんしゃい)また買ってやるき、それでいいか?」
「う、うん」
「すまんのう。でだ、おじさん。輪が入ったんじゃが……」
「おお!真ん中じゃねぇかよ!好きなの持ってけ!」
「ほら、選びんしゃい」
「いいのかなぁ……。じゃあコレ!」
「毎度っ!」