第3章 浴衣姿◇仁王雅治◇
祭りは大盛り上がりじゃ、人が多過ぎる。
覚悟はしとったがやっぱり好かんのう。
一つ良い所を上げるとしたら……この人混みのお陰でとピッタリくっ付けるとこか。
それでもこいつの足元は不安定じゃし、ちと危ないか……。
腰でも抱いてやるかのう。
「ひゃ!何?!」
「流されて危険じゃ、大人しくしときんしゃい」
「て、手は?!」
「プリッ」
「誤魔化すなー!」
クククッ…!面白い反応するのう。
好きじゃよ、そういうお前さん。
日頃あんまり構っとらんから……今日はとことん付き合ってやるぜよ。
「何か食わんのか」
「じゃー……イカ焼き!」
「了解」
「え?何?了解って」
「奢ってやるぜよ」
「やった!ありがとう!」
しかし参った……。
浴衣は危険極まりないのう。
チマチマ歩くとこなんか可愛くてしょうがないぜよ。
そう思うのはだからかよう分からんが、きっとそうなんじゃろ。
だから俺は別れとらん。