第6章 鼓動のSerenade*菅原孝支√
BBQー
桃が意を決して、告白することにした。
が、みんなに囲まれていてなかなかチャンスが訪れない。
(チャンスがないなら自分で作るまで…!)
肉を頬張っていた菅原に、「耳を貸してください」というと、「なんだ、なんだー?」と言いながらしゃがんでくれる。
「…ーー………!」
一言だけ言うとその場から逃げるように菅原から離れた。
もちろん残された菅原は呆気にとられている。
(え……今好きって言った?)
状況を理解した菅原は桃を追いかける。
「え、すが…さ…!」
そして驚く桃そっちのけで、ギュッと思い切り抱き締めた。
「ねぇ、さっきのホントに?」
始めて聞くような甘い声に桃の鼓動は大きく一つ跳ねた。
「…はい。」
恥ずかしくなって俯きながら答えると、菅原の腕の力は益々強くなった。
「え、あの…?」
困惑する桃の上から声が降ってくる。
「東山…いや、桃はおれが絶対幸せにするから!」
「…お願いし「なーにやってんのかな。」
幸せそうな2人の中に突如聞こえる声。
半月型に口角をあげるその人の目は笑っていない。
「クロ、なんでそんな怖い顔してるんですか…?」
怯える桃そっちのけで、黒尾は菅原に話しかける。
「昨日桃に何かしたのか。」
「…キスして、告白した。」
「!?菅原さん、な「お前は黙ってろ。」
一触即発の雰囲気になんだなんだとギャラリーが集まってくる。
「無理矢理桃にキスして抱き締めといて…説明してくれるかな。」
怒気のこもった声と圧力に一瞬怯みながらも宣言した。
「俺は桃が好きだし、桃も俺を好きだと言ってくれた。それ以上の理由は必要ないだろ。」
その後続いたしばしの沈黙の中、(クロってお父さんみたいてすねぇ)と考えていた桃だった。
「桃、本当にいいのか。」
「もちろん。」
迷いのない目に黒尾はため息をついた。
「ならいい。…スガ君、桃を泣かせたときは覚悟しとけよ。」
(ああ、やっぱりお父さんみたい…!)