第4章 Innocent Love*孤爪研磨√
「桃!」
「ご、ごめんなさい!逃げちゃって…」
「別に、大丈夫…」
だけど…と口ごもる。
不思議に思った桃を余所に孤爪はキョロキョロと辺りを見回している。
「あ…今、2人きりだね…!」
そのことに気がついた桃は顔を赤くした。
「桃。キス、してもいい…?」
「っ!……は、はい…!」
桃が頷くと、孤爪は優しくキスをした。
触れるだけのキスでも顔を真っ赤にさせるには十分だった。
「ケ、ケン……恥ずかしいからこれからは予告しないでください…」
おずおずと提案するが、孤爪はわかっていないようだった。
「なんの?」
「……キ、キスのっ!」
「…わかった。」
チュッ…
リップ音をたてて、頬にキスする。
「!?!?」
「じゃ、今度から急にするね。」
からかうように微笑んだ孤爪に、桃の心臓はうるさく音を立てるのだった。
「~っ!」
「桃戻るよ。」
「あ、うん…!」
手をつなぐ。
柔らかな温もり。
「これからもよろしく、桃。」
「ふつつかものですが、よろしくお願いしますっ!」
「それ、結婚のやつ…」
視線が交わり、どちらともなく笑いだす。
笑い声は空へ溶けていった。
……この後、皆に色々聞かれたのは言うまでもない。
Fin.