第1章 プロローグ
「っ…!」
相手の緊張のこもった声が聞こえる。
そして、
ボールは私たちのコートに返ってこなかった。
束の間の静寂……
そして
『わあああ……!』
静から動へ
一気に会場が湧き上がる。
『最後もサービスエースか!』
『凄かったぁ!!』
『流石、エース!』
あちこちから声が聞こえる。
「やった!」
「優勝?!ほんとに!?」
仲間たちが私の周りにやってくる。
(勝ったんですね……!)
勝利をやっと実感できる。
喜ぶ仲間たちを見て、涙で景色が霞んでくる。
「何泣いてるの、うちのエースはっ!」
「そうだよ!どうせなら笑わなきゃ!」
みんながわーわーと楽しそうに騒ぐ。
涙を浮かべたエースはその中で、誰よりも美しい笑顔を浮かべていた。