第1章 プロローグ
ー二年前
ーー中体連 決勝
会場が静まり返る。
(…心臓の音が聞こえます……!)
ドクン ドクンと高鳴る鼓動。
今までにない緊張感。
よく『選手の緊張が伝わるようです。』というが、それは逆のように感じてた。
(ううっ……観客のみなさんの緊張が伝わってきますよ…)
得点板をチラリと見る。
24 1 1 23
セットカウント1対1。
こっちのマッチポイントで、私のサーブ。
この一球が全てを決める。
ボールを持つ指先が微かに震えた。
(それでも…勝つんです!)
前を向くと、こっちを見てうっすら微笑む仲間がいた。
『信頼してるよ』
その目はそう言っているようだった。
(……大丈夫。)
震えは収まっていた。